相対性理論 × やくしまるえつこ × YCAM 特別企画 『天声ジングル - ∞面体』
2016.12.8
相対性理論 × やくしまるえつこ × YCAM 特別企画
『天声ジングル - ∞面体』
2016年12月・山口情報芸術センター[YCAM]にて、「相対性理論」「やくしまるえつこ」とYCAMによる特別企画『天声ジングル - ∞面体』(読み:テンセイジングル ポリヘドロン)が開催されます。今年4月にリリースされた相対性理論の最新作『天声ジングル』。その『天声ジングル』を提げ、7月には完全インディペンデントでの日本武道館公演『八角形』を実施。そして2016年12月、ポップミュージシャンとしては初となるYCAMでの特別企画『天声ジングル - ∞面体』が開催されます。『天声ジングル - ∞面体』は、天地創造から始まり生命の螺旋を描く『天声ジングル』の世界感を、ライブ・インスタレーション・爆音上映などで多層的・多角的・多元的に体験する試みです。
*スタジオB・特別室は展示入れ替えの為12月18日までとなりますが、好評につき図書館でのインスタレーション『タンパク質みたいに』の公開会期延長が決定。会期は以下の日程となります。
『天声ジングル - ∞面体』
会場:山口情報芸術センター[YCAM] (〒753-0075 山口県山口市中園町7-7)
・ライブ:2016年12月17日(土) 19:00 開演(18:00 開場)
山口情報芸術センター[YCAM] スタジオA
チケット発売:10月29日(土)
料金:前売一般5,000円 / any会員・特別割引・25歳以下4,500円 / 当日5,500円
http://www.ycfcp.or.jp/event_item.php?page=220
・インスタレーション:12月3日(土)~12月18日(日)開催 ※火曜休館
山口情報芸術センター[YCAM] スタジオB、バイオラボ、山口市立中央図書館、ほか
入場無料
10:00 ~ 19:00 (*中央図書館のみ、平日 19:00~20:00/土・日 17:00~20:00/12月17日 17:00~22:00)
・爆音上映:2016年12月18日(日) 14:30 上映開始
山口情報芸術センター[YCAM] スタジオA
チケット予約受付開始:11月12日(土) ~ ※窓口、Web、電話にて発売。
料金:1,500円
http://www.ycfcp.or.jp/event_item.php?page=222
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12月17日(土) にはスタジオAで相対性理論 山口初上陸となる『天声ジングル - ∞面体』ライブが開催されます。この公演のチケット発売は10月29日(土)からスタート。
インスタレーションの展示期間は12月3日(土)~12月18日(日)。
スタジオBでは、立体音響や巨大スクリーンを用いたインスタレーション版『天声ジングル』を公開。
また、図書館では、作家・円城塔が書き下ろした特殊な構造のテキストをやくしまるが解読・再構築して音源化したYakushimaru Experiment『タンパク質みたいに』のインスタレーションが発表されます。
更にバイオラボでは、やくしまるがバイオテクノロジーを用いて制作、音源と遺伝子組換え微生物で発表し話題を呼んでいる新曲『わたしは人類』の遺伝子組換え微生物も登場。
天地創造から遺伝子まで、『天声ジングル』を軸に連なる生命の世界をYCAMの空間全体で体験していただけます。各展示の入場は無料です。
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INSTALLATION 1 : “天声ジングル”
会場: YCAM Studio B スタジオB
インスタレーション版『天声ジングル』。相対性理論のアルバム『天声ジングル』を、13基のスピーカーと6基の超指向性スピーカー、24基のベースシェイカーを含めた計43基にもおよぶ複雑なマルチチャンネルの特殊な立体音響環境にアサインリミックスし、4+1の映像とフル音響とともに全身で体験するコックピット型音楽作品。
10時〜 19時 入場無料
Produced and Directed by やくしまるえつこ
Mixing Engineer : 米津裕二郎
Photograph : 新津保建秀
Movie : Rhizomatiks、Semitransparent Design
Music : 相対性理論『天声ジングル』
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INSTALLATION 2 : “タンパク質みたいに”
会場 : YCAM 2F Passage on Library 中央図書館 2F渡廊下
複雑系研究の来歴を持つ作家・円城塔が書き下ろした特殊な構造のテキストマップをやくしまるえつこが解読・再構築して音源化したYakushimaru Experiment『タンパク質みたいに』(*)を、閉館後の図書館全体を使ったプロジェクションマッピング映像とマルチチャンネル音響によって再現したインスタレーション。
*ゲノムによるタンパク質の合成時に発生するポリペプチド鎖の立体折りたたみ構造(フォールディング)を詩と音に秩序立てて対応させた作品
Produced and Directed by やくしまるえつこ
Text:円城塔
Music:ティカ・α
Voice & dimtakt:やくしまるえつこ
Mixing Engineer : 米津裕二郎
Programming : annolab、モンブラン・ピクチャーズ
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INSTALLATION 3 : “わたしは人類”
会場 : YCAM 1F Information Space – Special Room インフォメーションスペース 特別室
”人類滅亡後の音楽”をコンセプトに、やくしまるえつこが音源と遺伝子組換え微生物で同時発表した作品。光合成細菌であるシアノバクテリアの遺伝子情報を用いて作曲した楽曲をDNA配列に変換して、更にシアノバクテリアのゲノムに組み込む、遺伝子組換え微生物によるバイオアート。
非常に長い寿命を持つDNAをストレージとして、組み込まれた楽曲をアーカイブ、後世へ伝達するという意味でも興味深い作品。シャーレにはやくしまるによるドローイングが遺伝子組換え微生物で描かれている。
10時〜 19時 入場無料
Produced and Directed by やくしまるえつこ
Lyrics and Music:ティカ・α
Drawing : やくしまるえつこ
Mixing Engineer : 米津裕二郎
協力:KENPOKU ART 2016 茨城県北芸術祭、経済産業省、NITE、首都大学東京、ロフトワーク、 FabCafe MTRL
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ライブ翌日12月18日(日)には、相対性理論・やくしまるえつこ映像作品の爆音上映会を実施。前日ライブが行われたばかりのスタジオAで、ライブ機材を用いた爆音上映をご覧いただけます。
十全な音環境を備え、さまざまなメディアテクノロジーに関する知見を有するYCAMだからこそ実現可能な、ここでしか体験することのできない特別な世界観をお見逃しなく。
また、今回の『天声ジングル - ∞面体』開催にあたり、雑誌『STUDIO VOICE』編集長をつとめ、2009年に同誌で相対性理論を特集するなど長年にわたり相対性理論・やくしまるえつこの活動を追い続けている批評家・編集者の松村正人がテキストを寄稿しています。
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ボウイ、ブレイ、ブーレーズ、グレン・フライ、モーリス・ホワイトとプリンスとモハメド・アリ、ジョージ・マーティン、チミノとワイダが鬼籍にはいり、日を置かずそれにつづいたダリオ・フォがノーベル文学賞を受賞した年にはじめてその候補にあがったというボブ・ディランが同賞を受けた二〇一六年はおそらく、のちにひとつの時代を画した年とふりかえられるのではないか。個人的に――ということばを私はつねに慎重にもちいたいが、それでも、個人的に――もまちがいなくそうだった二〇一六年の春、相対性理論は五枚目のオリジナルアルバム『天声ジングル』をリリースした。彼らにとってもこのアルバムは画期的だった、いや、アーティストは一作ごとにそうなのだからいまさらいうべきことではないとあなたはおっしゃるかもしれない。そのようにして時代は変わると。それがあたりまえの時間感覚であり歴史観だが、かつて「過去は私に影響を与えない。私が過去に影響を与えるのだ」とデ・クーニングがいったときよりも現在の時制はずっと錯綜しており、作品や楽曲が時制の前後を問わず、ときに回路をもち通底し、あるいは反撥し合い分散する、そのような状況を名づけるのは簡単だけれども、私は意識的に引き受け生き抜くはたやすくない、昔がよかったともいまが最高だといいたいのでもない。そうではなくて、作品が顕れることでそれが照らすものがあり、『天声ジングル』はそのようなものだった。二〇一六年のポップスとしての画期である。タテのりのリズムは横軸のグルーヴに移行し、よく聴くといろんな音がいっぱいはいっている。やくしまるえつこの歌唱は曲に登場するキャラクターを演じるのではなく楽想を外側から包括する位置に上昇し、相乗効果のように着想も高さを増していく――と思いきや、身の回り数センチに舞い戻り、コンビニに日参し、この街を脱出しビッグになろうとするヤツを軽めにディスったりする。単独で曲を聴き、アルバム一枚まるまるとおす。シャッフルモードも一興だろう。とまれ、何度聴いても発見がある――との言い方はもはやクリシェですらないが、使い古されたことばに影響を与える作品が稀に存在することを、『天声ジングル』を聴かれた方ならうなずかれるにちがいない。
残念ながら、収録曲をナマで聴く機会はまだ数えるほどしかない。というか、一度しかなかった。七月の武道館公演がそれだが、『天声ジングル』の顔見せともいうべきこの日のライヴは、完全なインディペンデントスタイルでおこなった公演のあり方とともに深く印象に刻まれるものだった。紙幅の関係で詳述はしないが、はじめて舞台にかかった『天声ジングル』の収録曲は原曲に忠実な仕様だったが、身体の厚みとゆらぎがあった。カセット、CD、ブルーレイからレコード盤まで、現行の市販の媒体を網羅した『天声ジングル』の、それは(も)ひとつの形態だが、相対性理論にとって最終形態ではなかった。なんとなれば、山口のYCAMで十二月に開催する相対性理論 YCAM特別企画『天声ジングル - ∞面体』で『天声ジングル』はまたちがうかたちで顕れるからである。
相対性理論の首謀者でもあるやくしまるえつこの視点は『天声ジングル』の通奏低音である巨視的なそれと顕微鏡的な微細なものとの複眼であることを示している。いわば多層的、多角的、多元的な、さらにいえば俯瞰的でありながら遍在する、そのようなあり方を神的とまではいうまいが、相対性理論がこの時点で三度目に『天声ジングル』を披露することになるであろう十二月(十七日)の山口は神在月になるかもしれない、この神なき世界で。
二〇一六年神無月 松村正人
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チケット情報
○2016年12月17日(土)開催 19:00 開演(18:00 開場)
相対性理論 presents 『天声ジングルー∞面体』ライブ
チケット発売日:10 月 29 日(土)
オールスタンディング
前売 一般 5,000円 any会員・特別割引・25歳以下 4,500円
当日 5,500円 ※当日は各種割引対象外
※未就学児童入場不可 ※託児サービスあり ※特別割引:シニア(65 歳以上)、障がい者及び同行の介護者 1 名が対象
電話/窓口:
山口市文化振興財団チケットインフォメーション
083-920-6111
10:00~19:00 ※火曜休館、祝日の場合は翌日
インターネット:
http://www.ycfcp.or.jp/event_item.php?page=220
24時間受付 ※要事前登録
セブンチケット:セブンコード 050-066
チケットぴあ:PCode 315-194
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○2016年12月18日(日)開催 14:30 上映開始
相対性理論・やくしまるえつこ映像作品 爆音上映
チケット発売日:11月12日(土)※窓口、Web、電話にて発売。
全席自由 料金:1,500円
※未就学児童入場不可
※託児サービスあり
申込方法
電話/窓口:
山口市文化振興財団チケットインフォメーション
083-920-6111
10:00~19:00※火曜休館、祝日の場合は翌日
インターネット:
http://www.ycfcp.or.jp/event_item.php?page=222
24時間受付 ※要事前登録
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山口情報芸術センター[YCAM]
〒753-0075 山口県山口市中園町7-7
休館日:毎週火曜日、年末年始
TEL: 083-901-2222